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2009.02.13 小話@復活
夢用のをリベンジ。

初代霧=骸→初代な感じ。
…になってるといいな(…)←

たくさんの彼岸花が咲き誇る河原で、
僕は彼女と出会った。


【イザナイビト】


僕と同じくらいの15、6程度に見える少女は、
彼岸花を片手に佇んでいた。

1枚布の白い着物に草履という姿以外は僕と変わらず
(彼女の着物の裾は僕よりも大分短いが)、
ただ違う点といえば彼女がもう片方の手に
持っている大きな櫂だけ。

それから、腰紐へ挿している彼岸花。

ここへ来る時に持ち物は全て取られたから、
持ち物がある時点で彼女は僕と違う。
…というより、河原で櫂を持っていれば
彼女の意味も想像はつくが。

「…あぁ、いらっしゃい」

彼女は僕を見つけるなり、
笑ってそう言った。

「少年、若いね。何してお陀仏したのさ」

けらけらと笑う姿は見た目とは大違いだが。

そんな事を思いながら、
傍に止めてあった木のボートに乗り込む。
それは僕の重さを受け少し沈んだが、
すぐに平衡を保った。

「……随分、物分かりが良いんだね」
「その為に来ましたから」

だからほら、早く漕いで下さいよ。
と彼女を急かせば、
はぁ、とため息をついて、勢い良く乗り込んだ。
その為ボートは激しく揺れたから、
苛立ち混じりに彼女を睨む。

しかし彼女は気にした風もなく、
ボートを漕ぎ始めた。

「…かぜ、さそう…ひがんば、なの…」
「…?」

少し経った所で、漕ぎながら
詩とも唄とも取れるモノを歌い始めた彼女。
その姿が余りに儚くて、思わず見惚れた。


風が誘う。
彼岸花の薫りと共に君を待ってる。
行方知れず。
魂の向かう船を漕ぐ、水先案内。

繰り返す生と死に、願うは眠りだなんて、誰が言ったの?
永遠なんて無いと、言いながら…


「……あぁ、着いたよ」
「……」
「何だい、その顔は」

カタン、と大きく揺れて船は岸へと着いた。
そのため唄の途中で途切れ、
不満そうな顔をした僕に彼女は苦笑い。
…あまりに子供らしい反応を
してしまった自分に舌打ちする。

「……」
「それに、まだ六道を回り続けるって
 人の顔に見えないね」

普通は怯えるか逃げようとするかの
どちらかだと、やっぱり彼女は
ケラケラと笑いながらそう言った。

「…僕は、そのために来ましたからね」
「?よく分かんないけど、
 六界目的だなんて珍しいね。
 少年、本当に珍しいよ」

珍しい、珍しいを連呼しながら
珍獣でも見る目つき。
…まあ、普通はいないでしょうからね。
六道の冥界を望む者なんて。

「大抵は浄土を望んでる奴らばかりだよ。
 …もっとも、魂が不安定だから
 逝けるわけなくて大半は転生なんだけど」
「無限地獄と言うわけですか」

十分ですね。
そう言うと、彼女は少し驚いたような顔をした。
だけど僕は気にせずに続ける。

「逢いたい人…というよりは
 逢いたい魂があるんですよ。
 再会は約束されている。
 そのために、少しでも力が欲しいんです」

目を閉じて思い出すのは、広くて青い空の色。
眩しく綺麗で、汚されることを知らない空。
ここは空も河の水も赤いから正反対で、
だからこそ強く望む。


「……生きる事は、地獄?」

いきなりの質問。
それも突拍子もない。

ぽつりと呟いた彼女の表情は、
下を向いているせいで分からなかったが、
何故か苦痛を感じているように思えた。

「地獄はここでしょう」

返事をすれば、彼女は顔を上げて、
ケラケラと笑った。

「…そうだったね」

やっぱり、ケラケラと笑みを浮かべる彼女。
どうやら彼女にとって地獄はここではないらしい。


「では、僕は逝きます」
「うん、それじゃ」

気を付けて、
なんて彼女は思い切り場違いなことを言って、
船を漕ぎ始めた。

渡してもらった岸には冥界に続く道。
先程まで居た河原と大差ない。
違いがあるとすれば、
ここには彼岸花が咲いてないくらい。


「……少年!」

少し離れた辺りで、彼女は僕を呼んだ。

――あの、張り付いた笑みを消して。

「私は、少年が嫌い。
 だから、もう来ないで!」

そう叫んで、彼女は挿していた彼岸花を
川へと落としていった。

流れに沿って、花は岸へ。
反対に船は遠ざかって見えなくなる。

「…僕が、じゃないでしょう」

呟いて、流れ着いたそれを拾う。

「最も、僕も理想論は嫌いですからお相子ですがね」


拾ったそれを地面へと落として踏みつける。
無惨に散るその姿に満足し、歩き出す。


目的地は目の前に。

地獄は確かに今いるこの場。
だけど僕には力が必要。
そのために、望んだ場所。

地獄であって地獄でないなんて
少し可笑しい気がして、苦笑した。

望めば世界は変わると言ったのは、彼だったから。
汚れているくせにそれを見せない綺麗な彼は、
僕の世界そのもの。

一歩、また一歩と進んでいく。
あの時自分は立ち止まらないと決めたから。

あの綺麗な世界にいられないのなら、
せめて彼に見合う力は手に入れよう。

いつかまた逢えるその日までに。


fin.


―――――

ちょい前に夢用に書いてたのをアレンジしたのです。

初代霧=骸前世で骸→初代な感じ、で…。
三途の川のネタが書きたかったのですが……うーん(^_^;)
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